白井組の誇る職人たちは、まじめで実直、器用で無口。
そんな実直な姿勢で取組む職人たちの普段の姿を写真でご紹介します。
大工をはじめさまざまな職人たちによって行われる集大成としての家づくり。白井組はリフォームを中心に数多くの家づくりを行っていますが、土木工事から新築物件など大規模な工事も行っている会社です。まじめで器用で無口。やや古くさいスタイルかもしれませんが、実直な姿勢で取組む職人たちをご紹介します。
職人の世界と言ったら、厳つくて、強面で、とにかく取っ付きにくいという印象が第一だろうか。白井組の場合、その固定概念のままだと、たぶん肩すかしを食らってしまうことになるだろう。
「あー、ブロック塀直しにいっとったんよ。話が長ごうなってしもうた。」「近所のおばあさんから修理の依頼があって、駆けつけるんよ。」と、社長自らこのスタイル。白井組のスタイルは「地域密着」、だからいつもこのような家族的な雰囲気が漂う。お互い様の精神だから一方的に何かを押し付けるということはなく、注文する方も、される方も話しやすいというのが大きな「特徴」だと思う。
実際の現場を訪ねると、その「身近」さが実感できるはずだ。完工間近の住宅を訪ねるとベテラン大工、小田健視さんが建具や屋根裏の階段取り付け工事を行っていた。慌ただしい住宅工事の成り行きを見守っていると、「昔とは職人の世界も変わったね。」開口一番、小田さんはそう話してくれた。「職人同士もそうだし、施主さんとも話しやすい状況だと、ちょっとした世間話から問題点が見つかって、大きな改善につながるんよ。」
現在の木材を含む建材の多くは工場で生産された規格品が多い。もちろん各建材の個体差や狂いが少なく、品質の向上と言う点では歓迎すべきことだが、大工側の視点から見ると、木材の採寸、切り出しなど、覚えた技術の出番は少なくなったそうだ。ただし、白井組においてはこの「技」が多いに役立っているのだ。それは、前述の「世間話」から始まる家づくりにおいて、(構造上の問題を事前にクリアした上で)施主の希望を叶える仕上がりを実現してくれるからだ。熟練した技を持つ大工ならではの創意工夫が見えないところにも宿っている。
子どもの頃、身内の手伝いをするうち、「棟梁になりたい。」と憧れ、この道30年あまり。オールラウンドな技を持つ小田さんは特に階段をつける(すべて作るという意味)作業が得意だという。ちょうど、屋根裏部屋の階段を取り付けている最中、そんなことを教えてくれた。「腕が悪いと一週間かかるんよ。俺は二日もあればできるんよ。」
たくさんの技の話に、安心感が湧いて来る。「怪我をせんように、作るときも安全第一に。身内が建てたいと思ってくれる安心な建物を作り続けて来ようと思っているんよ。」最後に印象に残った。
静かに「カタカタ」と鳴る機械の音、畳のにおいになぜかホッとする。弊社とは先代からの長いおつきあい。白井組からほど近い「清水畳店」を訪ねた。
慌ただしい現場では、手際良く、畳の入れ替え作業中で、「へり」と呼ばれる畳の端の部分を新しいものに変えている。「有識畳(お寺の畳)は珍しくて、へりの紋を狂いなくあわせるのが大変です。」忙しい合間、終止、穏やかな笑顔で話してくださったのは、清水畳店・三代目の鳥越勇次さん。幼い頃から(両親の仕事の手伝いから)「職人」への憧れが、ずっとあったそうだ。会社勤めを経て、約18年前に職人の道へ。その後、技術を研いて念願の一級畳技能士を取得、現在はさらに「畳の世界にのめりこむ日々」なのだそうだ。彼の普段は数多くの「入れかえ」と呼ばれる畳のリニューアル作業を行う職人であるとともに、畳の世界に斬新なアイデアを吹き込むクリエイターでもある。
「のめりこむ」理由はそこにあった。例えば、介護保険の適用を受けることが出来る畳「快畳(かいじょう)」の開発。リフォーム工事で介護保険の適用を受ける際、通常の畳では保険の適用は受けることが出来ない。滑りやすい、車いすの走行に向かないなど、その欠点に着目して開発を決めた。行政の基準をクリアし、保険適用を可能にする畳を実現した。結果、完成したものは「フローリング床に比べて、滑りにくく、車いす走行も可能」な画期的なものになった。その他、夢のあるアイデアもある。競技会で披露された子どもたちのための「楽器のように音の出る畳」は畳の上を歩いたり、触ったりすることで「音」が鳴る楽しさが評価され、準優勝を獲得している。「伝統の畳とともに、新しいアイデアを考案して紹介して行きたい。もちろん畳のことなら何処にも負けない岡山で一番の畳屋になりたいです! 」 先代から、受け継いだ伝統に新しい風を吹き込む鳥越さん。その力は、日々研鑽する高い技術によって支えられているのだと実感した。
板金職人の三兄弟。「今日は写真とる言うけぇなぁ、よそ行きの服着て来たんよ!」「兄弟じゃからか、ほんと言いたいことゆうて仕事しょうるわ」
いつも仲良く…というより、喧嘩しながら現場をこなす、三人兄弟が今回の主役。「昔は鍋やこ、そう替えんから直しょうたんよ。穴埋めしたり、ハンダ付けしょうたりして。」海に近い小串の竹原板金工業。鍋や生活用品の修理から始めた家業は曾祖父から数えて、四代目。現在は、個性溢れる兄弟三人で住宅や工場など、ルーフデッキ板金の屋根や樋の建築板金工事を担っている。白井組の「頼れる」仲間だ。「最初は兄弟みな、バラバラの事しょうたんよ。自動車とか調理とかしょうたし。それが不思議じゃ、途中で集まってなぁ。一緒にやることになったんよ。」三人寄れば文殊の知恵とは、よく言ったもので、三者三様の役割分担がある。兄は棟梁として、施主やお客様とコミュニケーションをとって、全体を見渡す纏め役。「それ持ってこい言うたろうが! 何しょんな!」なんて、次男は口が悪いが、とにかく仕事が早い。現場で文句をいいながらも、手は正確に樋管を切ったり、つなげたりしていて、現場の中心として作業を進めている。「優秀な選手は監督に向かない」そんな所だろうか。三男は聞き役に徹し、もの静か。兄ふたりをうまくフォローして、作業を終わらせていく。うまく行く秘訣は、「いちいち細かいことは気にしない」ことなのだ。作業が終わると、結構、仲がいい。
「現場も人も寸法通りにゃいかんからなぁ。それが現場で(仕上がりが)ぴたっと合うたらやった!ゆうて兄弟みんなで思うんよ。それがええわ。」何より大変なのは、季節で仕事の状況が変わって来ること。「暑い寒いがあるからな。高いとこでの作業が多いから、天候で登れんかったり、(金属が)伸びたり縮んだりするわな」
鉄骨の建物は誤差が大きいと言う。そこに板金の部材を「ピタリ」と、取り付けるのは難度が高く、頭の中で誤差を計算しながら設計図面通りではない答えを導き出す。それが誇りで、「ぴったりだったら、そん時ゃうれしいわなぁ」謙虚だけど、大胆。仲良し兄弟は喧嘩しながら、知識と知恵で安心の品質を守っているのだ。お邪魔した現場で、竣工した屋根を眺めながら、竹原さんの眼が誇らしい輝いていた。